ウェイファーラーズ・チャペル(ガラスの教会)は、ロサンゼルス近郊のランチョ・パロス・バーデスにあるチャペルです。2024年に閉鎖が発表されたこのチャペルを見てきました。
ウェイファーラーズ・チャペルは建築界の革新者フランク・ロイド・ライトの息子であるロイド・ライト Jr.の設計で、太平洋の断崖絶壁に建つ有機的な建築が特徴です。神と自然界の調和に重点を置いた設計を行ったと言われています。またこのガラスのチャペルは北米スウェーデンボルグ教会に属し、18世紀の科学者であり哲学者であったエマニュエル・スウェーデンボルグの記念碑となっていました。
もちろんチャペルなので、日曜日の礼拝なども行っていましたが、その絶景から、結婚式のセレモニーを行う場所としても大人気。日本からロサンゼルスに挙式に来る方の中での人気はナンバーワンでした。なんと松田聖子さんもここで式をあげたそうです!アメリカ人の間でも人気で、全米の挙式スポットでもTOP10に入るほど人気でした。ドラマThe O.C.では結婚式やお葬式の撮影で使われました。
そんな人気で美しいチャペルが2024年の2月に閉鎖され、解体されることが発表されてしまいました。
地盤の移動によるチャペルの破壊
ガラス・チャペルが解体される原因は、地すべりによる地盤の歪みです。ランチョ・パロスバーデスでは、50年間にも渡って徐々に地すべりが起こっていましたが2021年以降の大雨の影響で、急速に地すべりが進み、住宅街にも被害がでました。
ウェイファーラーズ・チャペルも、壁と天井の金属製フレームが損傷し、トルクがかかって曲がったために、ガラスパネルのほとんどが割れ、多くのドアは操作できなくなってしまいました。さらに、電気、上下水道、ガスなど地下のサービスも使用不能になり、ガラスのチャペルだけではなく駐車場を含む敷地全体に影響が出ており、アスファルトが盛り上がり、1949年に敷かれた礎石にも長い亀裂が入っています。ガラスはフレームの歪みに特に弱いんでしょうね……。
これ以上放置すれば、礼拝堂の保存が不可能になるため、礼拝堂を直ちに解体することが、現時点で取るべき最も安全で実行可能な保存措置だと判断されました。解体計画には、各パーツのカタログ化と文書化、礼拝堂のオリジナル資料の可能な限りの保存、再組み立てが可能になるまでの間、すべての構成パーツを一時的に安全な場所に移すことが含まれています。また、同時にチームは、再建の場所を検討しています。
ガラスのチャペルの今(2024年5月現在)
ガラスのチャペルは、パロスバーデスのテラニアリゾートや、世界で一番長めの良いと言われているスターバックスからのすぐ近くにあります。
Rancho Palos Verdes, California 90275, USA
チャペルの一般公開は既にしていないのですが、知らずに訪れたらしい観光客や、関係者らしき人で駐車場はいっぱいでした。解体業者らしきトラックなども見えましたが、まだチャペル自体はありました。
関係者の方によると再建の場所や時間は不明で、今は専門家のアセスメント待ちだが、同じ場所に建てるのは危険が大きすぎるから移転する可能性が高いのでは?という話でした。最近のロサンゼルスの大雨や嵐は気候変動の影響だと言われていますが、その影響がこんなところにも出ているのかもしれません。
ガラスのチャペルがいつかまた再建されたら、その場所に必ず訪れてみたいです。
ガラスのチャペル
美しいガラスのチャペルを紹介した記事や写真は以下で見ることができます。
Tabi-Labo
住所:5755 Palos Verdes Drive South Rancho Palos Verdes, California 90275, USA